Wednesday, 8 August 2012

月の兎

満月の夜。

大学のキャンパスを歩いていると。。。
月光の下で不気味に動く怪しい影たち・・・・・


見えますか・・・?写真の下のあたりです。
月を見上げているあのシルエットは・・・。



うさぎだ!



「ふっふっふっ・・・見たな。。。」
と言わんばかりの怖い写真ですが、
写真だと目が光っちゃうだけなんです、
彼らが悪いんじゃありません。

ちなみに昼の姿は、超キュート


・・・とはいっても、
大学のキャンパス内には、うさぎがうじゃうじゃいて、
もはや何の有り難みも感じないのですが、
この日の夜、こんなに興奮したのは、もちろん、

月といえばうさぎ、うさぎといえば月。

だからですよね^^

子供の頃にうさぎが月に住んでいるという話を聞いたことのある人は多いはず。
(かなり古いネタですが、セーラームーンのヒロインも月野うさぎ!)

でも、なんでそもそも月にうさぎが住んでいるのか?
これって常識なんでしょうか?というわけで、調べてみたところ、
自分にとって新しい発見だったので、書き留めておきます。

いつもの便利なWikipediaさんによれば、「月の兎」の物語は、
仏教の「ジャータカ(本生譚:ほんしょうたん)」という
経典に収められている話から由来しているそうで、
日本の平安時代に成立した『今昔物語集』にも登場します。
あらすじはこんなかんじ。

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在る処に、菩薩の道を志す狐、猿、兎がいました。
3匹は力尽きて倒れている老人に出逢い、彼を助けようとしました。
猿は木の実を集め、狐は川から魚を捕り、それぞれ老人にあげましたが、
兎だけは、どんなに苦労しても何も採ってくることができませんでした。
自分の非力さを嘆いた兎は、猿と狐に頼んで火を焚いてもらい、
自らの身を食料として捧げるべく、火の中へ飛び込みました。
甚く感動した老人は、(お決まりの展開ですが)神様としての正体を現し、
兎の捨て身の行いを後世まで広く伝えるため、兎を月へと昇らせました。
月に見える兎の姿の周囲に煙状の影が見えるのは、
兎が自らの身を焼いた際の煙なのだとか。

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ま、まさに「捨て身の慈悲行」・・・。
そこまでやるか、兎さん、という感じですね。
そんなに偉い兎さんとは知らず、月で呑気に餅を突いていて羨ましいなぁと
今まで勘違いしていてごめんなさい。

そういえば、これまた仏教のジャータカ物語の中で、
お釈迦様の前世であるサッタ王子というお方が、
飢え死にしそうな虎親子を憐れみ、崖の上からその身を投げて食べさせたという
「捨身飼虎(しゃしんしこ)」という伝承があるのを思い出しました。
兎さんと、サッタ王子の物語が教えているところは同じなんでしょう。

それにしても、
仏教の「慈悲」の精神って、
半端ないなぁ・・・と、唸ってしまった。

 * * * * *


翌日、クラスメイト(フィンランド人)に
「日本では、月に兎が住んでいると思っているんだよー」という話をしたら、
「私の国では、昔から月はチーズだと言っているよ」と話していた。
たしかに、表面のクレーターがぼこぼこしていて、
チーズを想起させると言われればそんな気がしなくも無いが・・・
偉大なる東洋の想像力よ!!と、思わず誇らしくなった(笑)

ちなみに、大学内のお土産屋さんで、
ティディベアならぬUEAバニーが売っています。
自分へのお土産に、1匹買いました。
(慈悲の心を、忘れないために・・・?)



ノーリッチでの生活も、残り17日となりました。



Thursday, 2 August 2012

Αυτά μου φαίνονται κινέζικα. It's Greek to me.

イギリスに戻ってからの私の日常。


毎朝9時30分、大学内のカフェで友達とモーニングコーヒーをし、
(社会人の頃と比べると遅い気がするが、これより早めると他に誰も来ない!)
「ううう〜〜いやだ〜いやだ〜」と言いながら自分を図書館に連行し、
そこから一日日が暮れるまで(夏のイギリスは日が暮れるのは遅い)、
ひたすら統計ソフトと計量経済学本と格闘する。。。


私の普段のデスクの様子。



パソコンの画面は、Stataという統計ソフトちゃん。
統計ソフトというと日本ではSPSSがよく知られているけど、
それよりもうちょっと、マニアックな感じ。
違いはよくわからないけど、SPSSはどちらかというと画面がカラフルで
少なくとも見かけはユーザーフレンドリーな雰囲気を与える。
一方、Stataはデザインとかお構いなく、機能重視?というか、なんというか。
経済学系は、よくStataを使うのかな−?心理学系は普通SPSSですか?違うかな?

真ん中にあるのは大学のロゴ入りのマイマグ。保温機能は特になく、
単にキャンパス内のカフェでディスカウントが受けられる。
実はこの子は4代目。所持品をあまりに良くなくすので、
ついにカップの裏に名前と学籍番号を記入した。。。情けない。。


さて、今日のタイトルは、少しややこしいというか、単なる言葉遊びです。

勉強仲間のアレクサンドロス君(ギリシャ人の名前はなんか迫力がある)と
ダイナミックパネルデータについて話していたとき、彼が漏らした一言。
(実名掲載の許可は取得済みです)

"It is chinese to me."

???・・・一瞬混乱したが、文脈的には、
何か難解な物事に対して「さっぱりわからないよー」という意味で使う、
日本語の「ちんぷんかんぷん」と同じ。それをギリシャ語でいうと、上記の通り、
Αυτά μου φαίνονται κινέζικα. 「中国語みたいだ」になるのだとか。

これが、英語では「It is Greek to me(それは私にとってギリシャ語だ)」となる。
この語源は、もともとラテン語で
"Graecum est; non legitur" ("it is Greek, [therefore] it cannot be read")
「それはギリシャ語だ、だから読めない」
という言葉があるらしく、シェイクスピアの『ユリウス・シーザー』でも、
これをもじったセリフが出てくるらしい。

ちなみに、英語版のWikipediaで調べると、
どの言語がどの他言語を「理解不能言語」としてターゲットとしているかが載っている。

ギリシャ語意外にも、比較的多くのヨーロッパ言語が、
中国語を「難解」であると考えているらしい。
あとは、東欧諸国の言語はスペイン語をターゲットにしているところもあるようだ。

さて、その中国語はというと、「神の言葉」とか「火星の言葉」とか
「古代語」などに例えていて、受け流している。

日本語の「ちんぷんかんぷん」は、中国語の「ちんぷとん・かんぷとん」という
言葉から来ているという説がネットに出ていたけど、いまいち判然としない。

それから、なぜか、ペルシャ語が日本語を標的にしているらしい。
なぜ日本語なんだ・・・・??
ペルシャ人はいつ初めて日本語を聞いたんだろうな。

世界中の人々が、よくわからないことをお互い他人の言語に例えて、
「まるで△△語みたいーーー」といっているのってなんか皮肉だな。
バベルの塔が神の怒りを買い、世界中の人々の言語がバラバラになる前は、
もうちょっとシンプルな世界だったんだろうな。




そんなことを考えながら、ぐだぐだと過ごす大学院生活もあと少し。

こないだ、アレクサンドロス君が「パスティチョPastitsio」という
ギリシャ料理を作ってきてくれたので、みんなで食べた。
わざわざアテネのお母さんに電話してレシピを聞いて、3時間かけて作ってくれたらしい。

とっても美味しかったです!
Ευχαριστώ!!!! Thank you ありがとう! Alex!


パスティチョ: パスタの上にミートソースとベシャメルソースを載せてオーブンで焼いたもの)