前回の最後に、次回予告として
「このチャリティショップの利益を上げるにはどうしたら良いのかを考えます」
みたいなことを書きましたが、
いろいろ考えているうちに、内容がつまらなくなりそうな気がしたので作戦変更です。
* * *
そこで、今日考えるのは「多機能的なチャリティー活動」についてです。
これまでは、チャリティーショップの目的を「中古品を売ってその利益を慈善活動に充てる」
ことに限定してお話してきましたが、
実はそうでもないんですよ、むしろそうじゃない方が良いんじゃないか、という話です。
そこで本日のタイトルは、日本語ではおなじみの「一石二鳥」ですが、
もともとはこれも英国の諺だそう。
オリジナルは、文字通り「Kill two birds with one stone」です。
「ちょっとKillなんて野蛮な・・・」と別の選択肢を探したんですが、
残念なことに、世界でもこの言葉のままが多いようで、あな恐ろし。。。
せめて「一石二鳥」と遠隔表現している日本語は、素晴らしいなと思いました。
さて、日本でも、「一石二鳥」を「三鳥」、「四鳥」と増やして、
1つの行動で2つ以上の目的を達成できる様子を表現しますよね。
チャリティーショップの持つ多機能とは?
チャリティーショップはどのような点で、社会の役に立っているのでしょうか?
1.慈善活動の収益金になる
第一に、これは今までお伝えしてきたとおり、チャリティショップの収益金は、発展途上国の貧困削減や女性の権利向上、地震や洪水などの自然災害への緊急援助に
充てられます。
この活動趣旨に賛同する人が、自分の品を寄付したり、ボランティアしたり、
商品を買ったりしてくれるわけですね。
2.リサイクルの促進
第二に、オックスファムのチャリティショップ=リサイクルショップですから、
ゴミの減量、環境への負荷軽減というメリットがあります。
勿論、中古品を手放す人にとっては、日本でいう「ブックオフ」さんみたいなところに
持っていけば、現金で引き取ってくれますので、その方が儲けが出て嬉しいですが、
ブックオフでは、本しか引き取ってくれませんよね。
服は服屋へ、家電は家電屋へ・・・と持っていくといちいちめんどくさいので、
一度にいらないモノを処分したい!お金はいらないから!でも捨てるのは環境に良くない・・・
という人にとって、なんでも(除:家電?)無料で受け取ってくれるうちのような
ショップはすごく便が良いのだと思います。
良くマイカーでお店の前まで来て、大量の品を寄付されていく方が多いです。
一方で、購入者にとっては、中古品ではあるけれど、安くて良い品が出に入れば、
嬉しいですよね。
そうした意味で、チャリティショップは地域のリサイクル活動に
一役買っている訳です。
3.地域コミュニティー作り、自立支援
一方で、チャリティーショップは働く人にもメリットがあります。
ノーリッチのオックスファムショップでは、色々な人がボランティアをしています。
一番多いのは、ご退職後のおじいちゃん、おばあちゃん達ですが、
皆さんとてもエネルギッシュで、ばりばり働いています。
そして、世間話をしたり、お互いの健康を気遣ったり、言ってみれば良い社交の場に
なっているんですね。
ノーリッチでは高齢化も一つの問題になっていると聞いたことがありますので、
そういった意味で、地域のコミュニティーとして機能しているんだと感じています。
高齢者の方だけで無く、体に一部障碍のある方も裏方さんとして活躍しています。
一時的に職が無いという方も「何もしないでいるよりは」と言ってボランティアに
来ています。これは偉いなぁと思いました。
私のような英語のへたくそな留学生にとっても、地元の方と接して英語を練習する絶好の機会です。
(今でも、お客さんに難しい質問をされるとどきまぎしていますが・・・)
そして、皆さん誇りを持って仕事をしているように見えます。
これはオックスファムの活動に強く賛同しているからに他なりませんが、
一方で、オックスファムの持っているブランド力も大きいと思っています。
私も、自分の履歴書に「オックスファムでボランティアをしてました」と書けるのは、
打算的ですが、一つのメリットです。
* * *
これらの機能が、相互に上手く作用して、チャリティショップが成り立っているんだと思います。
チャリティショップの営業活動に対して、
第2のメリットが、仕入原価の低下というメリットをもたらし、
第3のメリットが、労働力を無料で提供する、
その結果、第1の目標である支援活動の資金が増える、というわけですね。
そして、それがオックスファムの現地での支援活動を充実させ、
支援する人、寄付する人、ボランティアする人をもっと嬉しい気持ちにするというサイクル。
=ちょっとしたボランティア論とチャリティの「仕組み作り」=
ところで、ボランティアさんは「安価な労働力」と捉えるべきでしょうか?
私の考えは、ボランティアさんはお金に換算すると「安価」なのかもしれませんが、
有能で「継続的に」活動してくれるボランティアさんを集めるには、
その団体をお金以外の面で「魅力的な場所」にしなければいけないと思います。
つまり「やりがい」とか「社会の役に立っている意識」とか「友達が出来る」とか
「勉強になる」とか、そういう活動に参加する人にとってのメリットです。
これは、また機会があれば書きたいと思っていますが、
国際協力やボランティア活動は、見返りを求めない無償の愛!を持たなければならない、
あるいは、そういう意識の高い人たちがやっていることで、自分にはとても真似できない、と
思っている人がいるかもしれませんが、私は必ずしもそうではないと思っています。
これは道徳的・倫理的に難しい議論になるのでもっと勉強しなければいけませんが、
上記であえて「継続的なボランティアさん」と書いたのは、
人は「何かを継続するのが苦手な生き物」だと思うからです。
多くの人は、少なくとも"一時的には"、見返りを求めずに誰かを助けることが出来る
優しい心を持っていると私は思っています。
しかし、それを継続することは、簡単ではありません。
私も含めて、多くの人は、誰かに対して「無償の愛」をいつまでも
与え続けることは、結構至難の業なんではないでしょうか。
それが大事なことと、わかっていても、です。
私たちの多くは、「熱しやすく冷めやすい、忘れていく生き物」だからです。
もちろん、今でも震災復興のために、日々尽力をされている方々がいます。
そうした方々の話を聞くと、心から尊敬の念を抱きます。
でも、残念なことに、それは全ての人ができることではありません。
だから、「無償の愛で活動できる人しかボランティアしてはいけません」と限定してしまったら、
多くの、私のような意志の弱い人間は、チャリティには参加する資格が無いことに
なってしまいます。
でも、それが本当に良いことでしょうか?
理想を突き詰めてごく一部の人でがんばることと、現実的に多くの人を活動に巻き込んでいくことは、
どっちが良い結果を生むのでしょうか?
私は、世界をもっと良くするためには、今よりもっとたくさんの人の力が必要だと考えています。
だから、もっと多くの人を巻き込んでいくためには、多くの人が参加できるような
「社会を良くする仕組み」を作ることが大切なんじゃないかと最近ぼんやり考えています。
今話題になっている「ソーシャルビジネス」や「BOPビジネス」に繋がる議論ですが、
寄付やAidといった一方的な支援に頼ったものではなく、
支援する側もメリットを得る(=収益を得る or やりがいを得る or 友達を得るor 誇りを得る)
「好循環の仕組み」を作ることが継続的な成功の秘訣なのでは無いかと思っています。
* * *
なんだか偉そうなことを色々と書いてしまいましたが、
私もまだまだ勉強中です。
次回以降は、ちょっと開発関係のテーマから離れて、
気楽な内容を書いてみようかなと思います。
今回も読んで下さり、ありがとうございました。
ノーリッチに住んでいるUEA学生の皆さん、お時間があれば、
ぜひショップに遊びに来て下さいねー^^ 美味しいドライマンゴーが待ってます☆
ノーリッチに住んでいるUEA学生の皆さん、お時間があれば、
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